かけた長州もすごいが、返した猪木もすごい

 古舘伊知郎アナが実況中、好んで口にした逸話がいくつかある。

 「猪木は長州のサソリ固めを長時間耐えた」
 
 この長時間というのがあるときには3分以上だったら、あるときは5分以上だったりする。
 実際はどうなんだ?

 と、かねてから思っていたところ、「ワールドプロレスリング・クラシックス」#173で、くだんの試合が放送された。

1983年2月3日 札幌中島体育センター
アントニオ猪木藤波辰巳 vs 長州力マサ斉藤

 ストップ・ウォッチを手に視聴を開始する。猪木の体が反転したあたりで計測開始、長州が技を解いたあたりでストップ・ウォッチを止めた。

 ストップ・ウォッチはちょうど2分30秒を表示していた。

 手動ゆえへの誤差や、どこからどこまでを技をかけられたと見なすかでも数値は多少前後することを考慮しても2分30秒前後というのは間違いない。

 3分ならともかく、5分というのはずいぶんと奮発した数字である。
 
 猪木vs長州のサソリ固め名場面はもうひとつある。1984年8月2日蔵前最終興行でのシングル対決で、この日の2度目に決めてみせたやつだと思う。
 このときはハンディカメラで猪木の苦悶の表情、闘魂の炎を燃やす表情もとれていて、古館アナの実況も非常にハイテンションで、大変スリリングだった。